使い切れなかった灯油は、ガソリンスタンドで引き取ってもらうか灯油の専門業者に回収を依頼する方法が一般的です。
寒い時期に灯油ストーブを使っている家庭など、シーズンが終わった後に余った灯油の処分にお困りではありませんか。「余った灯油は来年使おう」と考える人もいるかもしれませんが、灯油はどんどん劣化します。
今回は、シーズン内に使い切れなかった灯油をどうやって処分すれば良いのかお困りの人向けに、灯油を安全に処理する正しい処分方法や処分に伴う費用、絶対にしてはいけない処分方法などを詳しくまとめました。
灯油が劣化しているかどうかの確認方法などについても紹介します。
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古い灯油の4つの捨て方
大量の灯油を処分したい方には、下記の4つの処分方法がおすすめです。
灯油の捨て方
- 灯油を購入したホームセンターに持って行く
- ガソリンスタンドに灯油を引き取ってもらう
- 必要とする知り合いに譲る
- 不用品回収業者に依頼する
それぞれ、どんな処分方法なのかについて確認してみましょう。
灯油を購入したホームセンターに持って行く
灯油を販売しているホームセンターでは、古くなった灯油や使わなくなった灯油の引き取りを実施している店舗もあります。なお、レシートがなければ、購入したという証明ができないため、回収してもらえません。
ビバホームでは、ビバホームで灯油を購入したという方に限り古い灯油を引き取ってもらえます。カインズやコメリでは灯油の引き取りには対応していません。
灯油は特別管理産業廃棄物です。特別管理産業廃棄物について詳しく知りたい方は「灯油は特別産業廃棄物だから自治体で処分するのが難しい」をご確認ください。
ビバホームで灯油を購入した方は、店舗に相談してみましょう。
ガソリンスタンドに灯油を引き取りしてもらう
ガソリンスタンドに持って行き、灯油の処分をお願いすることもできます。ただし、セルフガソリンスタンドでは、回収していないところもあります。
「引き取りサービスはやっていないと言われてしまった」という事態にならないよう、事前に処分をおこなってくれるかの確認は必ずおこないましょう。
処分にかかる費用は、量によって金額が変わる場合があります。灯油を購入した人に限り、無料で処分するというガソリンスタンドも存在します。灯油をガソリンスタンドで処分することを考えているのであれば、購入時のレシートは取っておくようにしましょう。
必要とする知り合いに譲る
近所に住んでいる人や仲の良い人が灯油を欲しがっている場合は譲るという方法もあります。
相手がどれだけの量を必要としているかの情報も必要となります。なるべく早めに譲りたいということを相談しておきましょう。また、譲る灯油が劣化していないかはしっかりと確認しておく必要があります。
不用品回収業者に依頼する
不用品回収業者に灯油の処分を任せることも考えてみて良いでしょう。全ての不用品回収業者が灯油の処分に対応しているというわけではないので、事前確認は必要です。
電話や問い合わせフォームなどで、見積もりを取ってみてください。車を所有していなかったり何かしらの理由で運転が難しく、ガソリンスタンドや灯油販売店への持ち込みが難しい場合に有効です。
STEP.1
不用品回収業者に問い合わせる
電話や問い合わせフォームから問い合わせましょう。
STEP.2
見積もりを取る
見積もりは無料で依頼できる業者が多いです。
STEP.3
回収してもらう
見積もりの金額に納得いけば回収日時を決めます。業者によっては即日の依頼も可能です。収集日になったら自宅まで回収に来てくれるので、回収作業後に精算となります。
不用品回収業者では、灯油以外の不用品も同時に処分をおこなえます。なので、灯油とは別に処分したいものがあるという人にはうってつけの処分方法であると言えるでしょう。
業者の中には、見積もりとは全く違う高額料金の支払いを求めてきたり、強引な回収をおこなう業者もいます。
悪徳業者に引っかからないためにも、「一般廃棄物収集運搬業許可」もしくは「古物商許可」などの資格許可を保有しているかどうか(もしくは資格を持つ業者と提携しているかどうか)、スタッフの対応が良いか、口コミ・評判が良いかを確認してみることをおすすめします。
少量の灯油を処分する2つの方法
「あとちょっとだけ灯油が余っている」という人もいるでしょう。少量の灯油処分に適した処分方法を2つご紹介します。
可燃ゴミとして出す
少量の灯油が50~100cc程度なら、可燃ゴミとして出せる自治体もあります。
灯油を染み込ませた布や新聞紙を濡れた布で包み込み、ビニール袋に入れてください。袋に入れることで、静電気などで引火してしまうのを防ぎます。
可燃ゴミとして、少量の灯油を処分して良いかは自治体ごとのルールによって異なります。可燃ゴミに出しても良いというところもあれば、禁止しているところもあるでしょう。各自治体が運営しているクリーンセンターなどへ持ち込みをおこなうことは、基本的に難しいようです。
どうしても持ち込んで処分したいという場合は、自分の住んでいる地域のクリーンセンターに、灯油の処分がおこなえるかを確認してみてください。
余った灯油を染み込ませる際は、火気に注意しましょう。また、手袋をはめて窓を開けて喚起しながら行ってください。
暖房器具で空焚きする
少量の灯油であれば、石油ストーブやファンヒーターなどの暖房器具にて空焚きしてしまうのも良いでしょう。空焚きとは、灯油の入った暖房器具をつけっぱなしにするというもの。ファンヒーターの場合、灯油の量が少なくなると給油サインが出ますが、無視して運転してみましょう。
そして、火が消えてからも、何回か空焚きを繰り返すことで、ストーブやファンヒーター内に残っている少量の灯油を使い切ることができます。完全に火が着かなくなったらOKです。空焚きしているストーブやファンヒーターがある部屋で、洗濯物を部屋干しすれば、洋服を乾かしたりもできます。雨の日を狙って、空焚きをおこなうのも良いでしょう。
ポリタンク一杯ほどなら、一日で処理できます。なお、ファンヒーターやストーブの故障に繋がってしまう恐れがあるため、劣化している灯油を使っての空焚きはおすすめできません。
1シーズン前の灯油は空焚きできません。シーズンの余った灯油は使い切ってしまうことをおすすめします。
灯油を処分する際の費用相場
灯油を処分する際にかかる費用を、次の項目から紹介する方法別にまとめました。
灯油を処分する際の費用相場 |
ホームセンター |
お店による |
ガソリンスタンド |
無料~500円くらい(量によって金額変動) |
不用品回収業者 |
プランによる(軽トラ1台で25,000円くらい) |
知り合いに譲る |
無料 |
可燃ゴミに出す |
ゴミ袋代 |
暖房器具で空焚き |
無料 |
知らないと危険!やってはいけない灯油の捨て方
灯油を処分する方法の中には、避けたほうがよい方法もあります。
灯油の間違った処分方法
- 凝固剤などで固めて可燃ゴミに出す
- 下水・トイレ・川に流す
- 土(庭)に埋める
- 直接触って処理する
凝固剤などで固めて可燃ゴミに出す
「油だし、食用油を固める凝固剤を使って処分してみよう」と考える人もいるかもしれませんが、危険なので絶対にやめてください。
食用油を固める凝固剤は、「熱い状態の油」の中に入れる必要があります。灯油の引火点は食用油と比べて低いため、灯油を温めるとすぐに引火して火事が発生する可能性があります。
下水・川に流す
誰にも知られなければ良いという気持ちで水道・トイレ・川に灯油を流すことはNGです。灯油は揮発性が高く、水と混じり合いません。下水管内で灯油が気化してガスが充満してしまえば、爆発事故が起こってしまう恐れがあるでしょう。
下水管が破裂してしまい、修復が必要となった時の費用を請求される可能性も考えられます。下水処理場まで流れた灯油は、生物処理機能という微生物を使った汚れの分解機能をストップさせてしまいます。灯油を流すことで、かなりの数の微生物が死滅してしまい、処理場の生物処理機能が停止してしまうのです。
また、川に灯油を流してしまったとしたら、川が汚染されてしまって生態系に悪い影響を及ぼしてしまうでしょう。灯油の除去作業費用もかかってしまいます。除去作業費用は、灯油を流した人が負担しなければなりません。
灯油を流したことによってトラブルが起こったら、罰金などが科せられる可能性もありますので、下水・川などに灯油を流さないようにするのが賢明な判断といえます。
土(庭)に埋める
土に埋めたとしても、灯油は分解されません。灯油は自然界にはないものですから、土の中にいる微生物は灯油を分解することができないのです。
灯油を土に埋めることで、土壌汚染や生態系の乱れが生じてしまい、植物などが枯れたり育たなくなったりする恐れがあります。一度バランスが崩れてしまった土の状態を戻すためには、専用の微生物剤が必要になります。
燃やす
灯油は直接燃やして処分してはいけません。引火点が低く、一気に燃え上がるという性質を持っているので、火事になってしまう可能性があります。
直接触って処理する
灯油の処分時に、直接手で触るのはやめましょう。灯油は皮膚に吸収されやすく、そのままにしておくと灯油皮膚炎となってしまいます。
最初は「ヒリヒリするな」くらいに思うかもしれませんが、だんだん痛みを感じ、やけどのような症状が出ます。なので、灯油を処分する時はゴム手袋をするというのを徹底しましょう。
灯油を処分時にこぼした時の対応法
灯油をこぼしてしまった時の対処方法について紹介します。まずは、換気をすることが大切です。窓を閉め切った状態だと、灯油のにおいなどによって気分が悪くなってしまいます。
フローリングにこぼした場合はタオルやキッチンペーパーなどで灯油を取り除き、ワックスを塗り直すと良いでしょう。
玄関にこぼした場合は新聞紙や布などで灯油を取り除き、小麦粉を撒いてから再び拭き取ります。ほうきで残りの灯油を除去し、最後に中性洗剤を撒くと良いでしょう。
灯油が手についてしまった時は、下記の方法を試してみると良いでしょう。
食器用洗剤には、油汚れを除去する成分が入っているので灯油が付着した場合の対応策としては有効と言えます。
サラダ油を手につけ、石けんで洗い流すという方法も良いでしょう。また、灯油のにおいが気になる時には消毒用エタノールを使ってみてください。
灯油は前年に残ったものを使える?
古い灯油を使用すると暖房器具が壊れることがあるのでおすすめしません。保管している間に水やゴミなどの不純物が混入すると、灯油が変質します。
また、日の当たる場所や高温の場所で保管することで、灯油が酸化し成分が変わることもあります。
古い灯油を利用すると起こりうる症状
- 点火時に火がつかない
- 煙が出る
- 異臭や異音がする
- ボタンを押しても消火しない
- エラー表示が出る
最悪の場合、古い灯油の使用が火災事故につながる可能性もあります。古くなった灯油を処分する時には、「暖房器具での空焚き」はおこなわないようにしましょう。
また、事故が発生する恐れがあるので、近くの川や下水に流すのも絶対にやめましょう。灯油を下水に流した場合、最大で1000万円の罰金が課されることもあります。
灯油が劣化しているか見分けるポイント
灯油が劣化していないかどうかを見分けるには「色」「におい」を確認してみてください。
劣化していない灯油は透明です。しかし、劣化してくるとだんだん黄色く変色してきてしまいます。
においについては、すっぱいにおいがする場合、劣化が進んでいると考えておいて良いでしょう。
灯油は特別産業廃棄物だから自治体で処分するのが難しい
灯油は「特別産業廃棄物」に指定されているのをご存じでしょうか。特別産業廃棄物に指定されているために、自治体やホームセンターなどでは灯油の処分をおこなっていないところもあるのです。
特別産業廃棄物とは、廃棄物処理法に則り指定された特定の廃棄物を指します。灯油もその一つです。
参考:環境省|特別管理廃棄物とは
爆発の恐れや毒性、感染性といった観点から、国民の生活や健康に害を及ぼす可能性がある廃棄物を意味し、取り扱いが厳しく管理されています。
灯油は、専用処理施設にて特別管理産業廃棄物管理責任者が処分を行うことが義務付けられています。専用処理施設へ灯油を運ぶ費用や処理にかかる費用などを鑑み、ホームセンターなどが灯油の処分をおこなっていないことも少なくありません。
特別管理産業廃棄物の一覧 |
特別管理産業廃棄物 |
廃油(灯油類もここに該当) |
廃酸 |
廃アルカリ |
感染性産業廃棄物 |
特定有害産業廃棄物 |
廃PCB等 |
PCB汚染物 |
PCB処理物 |
廃水銀等(※1)(※2) |
指定下水汚泥(※1) |
鉱さい |
廃石綿等 |
ばいじん又は燃え殻(※2) |
廃油(※1)(※2) |
汚泥、廃酸又は廃アルカリ(※2) |
参考:東京都環境局|特別管理廃棄物とは
灯油を処分するタイミング
灯油を処分する際にベストなタイミングとはいつなのでしょうか。そもそも灯油を捨てるべきか、お悩みの方必見です。
灯油を処分するタイミング
- 不要になったとき
- 保管期間が過ぎたとき
- 古い灯油の処分は要注意
不要になったとき
「ファンヒーターやストーブなどを使わなくなった」「冬が終わったのでもう必要ない」という場合、灯油の処分を考えるという人も多いです。
灯油が不要になったときは先述した灯油の処分方法で、正しく廃棄しましょう。
保管期間が過ぎたとき
灯油は、購入してから1シーズン中に使い切るのが良いと言われています。次のシーズンまで灯油を放置しておくと、どんどん劣化が進んでしまい、暖房器具のトラブルが発生してしまったり、燃焼不良・着火不良を起こしてしまったりする可能性があるからです。
国民生活センターでは「暖房器具に昨シーズンの灯油を使わないで」と注意しています。処分するのがもったいないからといって、そのまま保管しておくのはやめましょう。
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灯油を処分するときによくある質問
Q. ポリタンクに入っている灯油の捨て方は?
A. ガソリンスタンドに電話をして、灯油を処分しているか確認しましょう。直接ポリタンクを持ち込むとスタッフの方が対応してくれます。
Q. 灯油は固めて廃棄できる?
A. 灯油を凝固剤で固めて処分することはできません。熱した灯油に凝固剤を溶かすのは大変危険ですので、絶対にやめましょう。
Q. 灯油を無料で引き取りしている業者はある?
A. ガソリンスタンドによっては無料で引き取りをおこなっています。お近くのガソリンスタンドに問い合わせてみましょう。
灯油の処分方法のまとめ
使い切れなかった灯油の処分は、正しい方法でおこなうのが大切です。記事内でも説明したとおり、灯油は特別産業廃棄物なので、保管や処分などの管理に関して厳しい規制がかかっています。
適当に処分してしまって、大きな事故が発生してしまっては困りますよね。灯油の量や、自身の状況などを鑑みて最適な方法で灯油を処分するようにしましょう。
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